既製靴でもハンドソーンを用いていて、既製靴の最高峰ともいわれる東欧ハンガリーの靴メーカー、VASSの靴を初めて購入しました。
以前、アローズでUラストのダブルモンクストラップを試着したことがありましたが、当時は結局価格なども考慮しAlfred SargentのRamseyを購入。
それ以降、VASSの靴には縁がなかったのですが、靴好きの先輩からVASSのオンラインショップがオープンすると聞き、ユーロ安も後押しして個人輸入にて今回購入と相成りました。
もはや欲しいものリストは崩壊し、意味をなさなくなっていますが(苦笑)、既製靴の最高峰といわれるだけあって非常に良い靴を手に入れることができました。
このポストでは、革質やサイズ感、関税などもお伝えいたします。ご参考になれば幸いです。
Italian Oxfordの詳細
今回購入したItalian Oxfordはこちら。すでにインスタでは数回アップしていますがこちらは履き下ろし前の状態です。
所有していないアデレード型のパンチドキャップトゥ。VASSではアデレード型のモデルはItalian Oxfordという呼び名になるそうです。
革はイルチアのゴールドミュージアムカーフ(ILCEA GOLD MUSEUM CALF)、赤みの強いブラウンです。
表面はちょっと顔料感があるような、ツルッとした表面ですが、ガラスレザーのような質感ではなく柔らかです。今まであまりみた事のない質感で、どんな履きじわ、エイジングを見せてくれるのかとても楽しみ。
出し縫いはそこまで細かなものではありませんが、どちらかというと実用性に寄った形でしょうか。Ascot Shoesなんかのインスタを見ていると、これよりも細かな出し縫いのものは見かけるので、MTOでの仕様とは異なるのかも。
サイドビュー。ヴァンプの部分からやや急に立ち上がりやや甲は高めの印象です。パーフォレーションも綺麗に均一にあけられています。
ヒールはシームレスヒール。既製靴でシームレスヒールのものを手にするのは初めてです。ヒールカップも小さめ。
特別感があり好きな意匠ですが、シームレスヒールはフィッティングが悪くなるとも聞くのでこのVASSはどうでしょうか。
ソールはレンデンバッハ使用のチャネル仕上げ。こちらも私は初めて経験するソール材です。非常に密度が高く削れにくいと聞きますが果たして。
そしてVASSといえば純正ツリーがもれなくついてきます。
丸い持ち手が可愛い。ツリーがついてくるというのはかなりポイント高いのではないでしょうか。
型押しのインソック。小窓の下書きのような物がありますが…手書きのサイズ表記。
インソールはフルソックになっていて、柔らかい足あたりです。
ここまで見てきて、非常に丁寧に作られているな、という印象。派手さはないものの、正確に、丁寧に。そんな様子が見てとれます。これはプレメンテも履き下ろしも楽しみです。
Fラストの特徴
今回のItalian OxfordはFラストです。VASSはイタリアのロベルト・ウゴリーニさんが作ったモノ。VASSでは人気のある細身のラスト。
Fラストはご覧の通りラウンドトゥ、英国のラストに寄せた形だそうです。内振りが控えめなところも含めて雰囲気的にはエドワードグリーンの202ラストに似ています。
サイドビューから見ても感じた通り、ややヴァンプから甲にかけては厚みがあり高めのようです。正面から見ると捻れを見てとることができ、履くのが楽しみになるラストです。
※サイズ感は後ほど。
プレメンテ
プレメンテは最近の定番方法である3日間プレメンテを実施しました。
今回使ったクリーム類は以下です。
- デリケートクリーム:サフィールノワール ナッパデリケートクリーム
- 保湿クリーム :ブートブラック リッチモイスチャー
- 油性クリーム :サフィールノワール クレム1925
ちょっと顔料感の強い革かなと思いましたが、クリームは弾くことなくしっかりと吸収してくれました。
今回はムラ感のあるミュージアムカーフということで、全てニュートラルのクリームを使っています。今後も補色はせずにニュートラルを使っていく予定です。
※3日間プレメンテは以下をご覧いただければ幸いです。
Fラストのサイズ感とミュージアムカーフの革質
プレメンテをしたのちに履き下ろし。
今回、サイズは40.5(UKだと6.5に相当)を選びました。細いといわれるFラスト、さらに普段UK7を履くことの多い私にとっては少々不安がありましたが、履く時に空気の抜ける「シュポッ」という音が聞こえ、きつく当たるところもないサイズ感。
土踏まずの持ち上がり具合、かかとのホールド感、履き口のフィット感も申し分ないです。唯一、ヴァンプの部分は少し甲との距離を感じます。
前述の通りFラストはウィズは細いものの、甲はやや高めのラストなので踏まずの部分も合わせて足を靴に合わせ流ようなイメージのラストです。ウィズの細さでウィズでガッチリホールドする感覚はありませんでした。
※私が履いたことのある靴のサイズ感は以下をご参照ください。
こちらは2回目、履き下ろしと合わせて10時間ほど履いた後の様子です。
少し顔料感の強い革かなと思っていたのですが、クリーム類もしっかりと吸収、履いてみても大味な履きじわが入ることなく細かく入っています。私の心配は杞憂に終わり、革質も良さそうです。
またソールの質も噂通り高く、削れにくいです。
アッパー、ソールともに今後も継続してエイジングと共にウォッチしていけたらと思います。
購入先、価格と関税
前述のとおり、今回はハンガリーのVASSオンラインショップから直接購入しました。サンプルセール的な扱いの物もあれば、ウイスキーコードバンを使ったモデルなども出ています。サイトを見にいってしまうと欲しくなってしまうのが…
問い合わせにも少し時間はかかりますが、きちんと応えてくれますし、配送はFedExなので購入から1週間ほどで到着します。
今回のItalian Oxfordの購入にかかった費用は以下の通りです。
※1ユーロ=118円で計算しています。
靴 | €396 → ¥46,728 |
送料 | €40 → ¥4,720 |
関税 | ¥6,800 |
合計 | ¥58,248 |
関税は予想通りの価格です。ちなみに関税は、FedExから後日請求されますので靴の到着時には支払い不要です。
個人輸入ということで少なからずリスクもありますが、もし欲しいモデルが出ている場合はお得感のある価格だと思います。
まとめ
既製靴の最高峰と呼ばれるVASS Italian Oxfordのレビューでした。改めて靴の仕様・価格などをまとめると以下になります。
モデル名 | Italian Oxford |
革 | イルチア ゴールドミュージアムカーフ |
ラスト | F |
ソール | レンデンバッハ |
付属品 | 純正シューツリー |
サイズ | 40.5 |
価格 | ¥58,248 |
まだ履き下ろして数回のみの着用ですが、今後も購入を検討…まあ、いろいろありますよね。
ご覧いただいた皆さんの参考になれば幸いです!
コメント
コメント一覧 (10件)
とうとう東欧にも手を、いや足を伸ばせれたんですね。
という私も実はVASSのP2ラストを新品で入手してます。
紹介するのは梅雨明けになりそうですけど。
Fラストはスマートで欲しいモデルもありますが、甲高幅広の私の足にはブダペスターが合うのではないかと最近思ってます。
レンデンバッハはディンケラッカーで経験してますが、硬いというよりムッチリしていて反ってからの反発が強くて心地良いので気に入ってます。もちろん、削れにも強いです。
VASSのオンライン、思ったよりコストがかからないんですね。
これはサイト見るとヤバいかも(笑)
Ironさん、コメントありがとうございます!
Ironさんのディンケ拝見したりしてふつふつと…足を延ばしてしまいました。
P2手に入れられたんですね!東欧らしいフォルムでいいですよね~
レンデンバッハ、仰るように歩くとむっちり詰まった感じで反発もしますね。
削れも強くて当面何も貼らずにいけそうです^^
VASSは本当に沼です笑。けっこう定番のものも出ていたりするのでぜひ!
※実はP2は私も…
初めまして。Vassのサイズ感をキーワードに検索していてたどり着きました。
ブログの記事色々と拝見させて頂きました。深い考察で大変興味深く参考になりました。ところでVassのFラスト40.5のフィット感は如何ですか?
実は私もVassのFラスト40.5を購入したのですが、踵とアーチラインのフィット感はぴったりなのですが捨て寸部分が少し大きいかな?という気がしています。捨て寸の空間が大き過ぎると言うか。幅については親指や小指は全く当たるところは無し。でも新品ならもう少しタイトでもいいんじゃないかなと。
ブログ記事を拝見したところ私とほぼ同じサイズ(UK7E)でいらっしゃるようなので、まるすけさんのフィット感を聞いてみたくなりコメントさせて頂きました。
Orsoさん、初めまして。コメントありがとうございます。
ブログをご覧くださりありがとうございます。
Fラストのフィット感ですが、おっしゃる様にかかとと踏まずのフィットは申し分なく、1の甲付近は多少のゆとりを感じます。
ですが私の足の場合は左右方向にはぴったりあっているなという印象で、上下方向、特に小指の方にゆとりがある感じです。
私は割とオールデンのバリーラストの様なフィット感も好きなので、かかとから踏まずをしっかり抑えて前側は少しゆとりがあるものも悪くないと思っています。
ハンドソーンなので、あまり沈み込みはないかなとは思っていますが、今後どうなるかというところですね。
個人的にはP2ラストの方が気に入っています。
まるすけさん、ご返事有り難うございます。
Fラスト40.5の自分の場合のフィット感に今一つ確信が持てなかったので大変参考になりました。既に持っている靴達と比べると余裕が有り過ぎて(特に指先のスペース。捨て寸長さが長い)どうなんだろうと思ってました。
実はこのFラストの靴、Vassの2足目なのです。先にUラスト40.5の靴を購入し自分のジャストから少しタイト目のフィット感。FラストはUラストよりも幅にゆとりがあるので同じサイズでジャストフィットだろうと判断しました。そしたら予想よりも長さ方向が少し長かったとかなと。
私の足の場合はUラストなら40.5がベストサイズ、Fラストなら40だったのだろうと思います(大き過ぎてどうしようもないというわけではないのですけどね。ハーフサイズ下がベターだったかなぁという感じです)。
UラストはFラストに比べると幅はかなりタイトです。外から眺めてると私これ履けるかなぁも不安がよぎりましたが履いてみたらシュポっと空気抜けの音がしてイケルなこれと思いました。新品でタイトなのでそのうちジャストに馴染んでいくのではと予想しています。もしUラストもご検討でしたらご参考になりましたら幸いです。
P2ラストは履きやすそうなラストですね。イギリスのクラシックな靴、イメージ的にはチャーチやチーニーという感じに見えます。
それではまた交流を宜しくお願いします。
Orsoさん、こちらこそコメントありがとうございます。
なるほど、そうなんですね!私もUラストは試着だけですがアローズでしたことがあります。
Uラストの情報、ありがとうございます。
他にもFラスト買われた方で、思っていたよりも大きいという方がいましたので、
多少個体差もあるのかもしれませんね。
私の場合、不思議とFラストは40.5でも心地よいので、あとはこれからどうなるかなといったところです。
P2は東欧と英国の間くらいのラストでやりすぎずちょうど良いです。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします^^
コメント失礼致します。
VASSの靴に興味が湧き、こちらのサイトに辿り着きました。
ミュージアムカーフのアデレードのモデルの購入を考えているのですが、革質はいかがでしょうか?
EGやLobbと比べるとどのような印象でしょうか?
Anywaysさん、コメントありがとうございます。
アデレードということはItalian Oxfordですね、私が購入した個体はちょっと触った感じは顔料感があってどうかなーと思いましたが、シワの入り方もきめ細かく良いと思います。
ロブは購入したことがないので比較ができませんが、近年のグリーンと遜色ない印象です。
数足購入しましたが、今のところ革質のばらつきはないですね、ご参考になれば幸いです。
ご返信頂き有難うございます。
そうなのですね、この値段でEGと遜色ないとは素晴らしいですね。
オンラインを見ているとコードバンどうもあり、目移りしてしまいますが、非常に参考になりました。
有難う御座います。
Anywaysさん
そうなんですよね、オンラインには魅力あるモノばかりで目移りしてしまいます…
良いお買い物ができると良いですね!