前回のエドワードグリーンに続き、今回はクロケットジョーンズの比較をしていきます。クロケットは日本でとても人気のある英国のメーカー、雑誌などにも露出が多いので、私も高級英国靴で憧れたのはクロケットが最初だった気がします。
今現在、所有するクロケットのラストは224/236/302/314/340の5種類。317は手放してしまったので、思い出しながら記載します。クロケットの代表モデルであるオードリーのラストである337(今は369)がないのですが、いつか入手したら追記するとして、まずは上記の6種類についてまとめてみようと思います。
今回、比較に使用した靴は以下の通りです。
ラスト | モデル | サイズ表記 |
314 | BOSTON | 7E |
236 | CONNAUGHT | 6.5E |
340 | モデル不明(George Cleverley) | 7E |
302 | BRIMSTONE | 6.5E |
224 | CHERTSEY | 7E |
317 | BURGHLEY(※写真なし) | 7E |
ラストに応じて7Eか6.5Eを選択。いずれもこれより小さい、もしくは大きくなると履けないジャストサイズだと感じています。
また、340ラストはジョージクレバリー名義ですが、クロケット制作ということで入れています。
本当は同じ形の靴でラスト違いを試せれば良いのですがそうもいかず、ラスト以外の要素もサイズ感に影響はあると思いますが思いますが、その点はご容赦ください。
私の足のサイズ
ラストや靴の形、メーカーによっても当然異なりますが、UK7E、US7.5D、25.5cmを履くことが多いです。
ZOZOMATでの計測結果は上図の通りで、甲はやや低めの幅は標準的からちょい細いくらい、かかとはやや小さめとなります。
※詳細は「ZOZOMAT」もしくは「履いたことのある革靴のサイズ感まとめ」の記事をご参照ください。
ラストとサイズ感の比較
それではエドワードグリーンの時と同様に本題のラストとサイズ感の比較を進めていきます。黒靴がないことにびっくりですが…
もしここに記載のない内容で追記した方がわかり良い観点があればご指摘いただければ幸いです。
314ラスト サイズ7E (モデル名BOSTON)
まずはクロケットのローファーの代表作、BOSTONです。現在はBOSTON2となり、ラストも376という新ラストになっておりかかととウエストがややスリムになっているとのこと。
ご覧の通り、かかとの中心線からトゥまでがほぼ真っ直ぐに繋がるローファーらしい形をしたラストになります。アーチの支えは物たりませんが、かかとが抜けることもなく比較的私の足にあっているラストです。かかとの包み込み感も悪くはありません。
トゥは綺麗なラウンドトゥ。丸みのある英国靴らしいフォルムです。ボールジョイントは私の足幅でちょうどよく、ウエストガースも程よくタイトフィットです。
甲は比較的低い私の足でも大きな距離を感じることはなく、足の遊びはあまりありません。
上から見るとあまり内ぶりに見えないラストでしたが、ソールを見ると少し内にふられています。ですが、大きなクセのないラストです。
ソールの全長と幅はサイズ感の参考にはあまりなりませんが、全長は28.3cm、幅は10.1cmになります。
341ラストのまとめとして、ローファーらしいフォルムのラスト、後身の376ラストではよりタイトに抑えられているとのことですが341ラストもアーチの支え以外はボールジョイント、ウエストガースはややタイト目で抜けることはありません。
繰り返しですがアーチの支えは欲しいです笑。
236ラスト サイズ6.5E (モデル名CONNAUGHT)
続いてはレギュラーラインの中で長い歴史を持つ236ラストです。1961年から作られているのだとか。そしてこのラストを使っているのがCONNAUGHTです。
見るからにクラシックなフォルム、かかとからボールジョイントまで広がり、トゥにおさまる連続的な形状をしています。見た感じゆったりしているように見えますが、その感覚通りの足入れです。甲も普通〜少し高いくらいです。
トゥはこちらもラウンドトゥで綺麗な二等辺三角形に近い形のトゥです。キャップもやや小ぶりでクセのない形、さすがロングセラーといえるフォルムだと思います。ボールジョイントからトゥにかけても緩やかな曲線なので指先の余裕も◎
6.5Eを選択していますが、それでもタイトに感じるところは少なめなので普段のサイズ感で購入すると確実に緩くなると考えられます。捨て寸は確保しているのでハーフサイズダウンが妥当かなあと。
こちらもあまり強い内振りではありません。ウエストの絞りもやや弱目です。アッパー側から見るとグリーンの202ラストにも少し似ているかな?と思いましたがソール側から見ると異なりますね。アウトソールのサイズは全長28.5cm、幅10.4cmです。
※内側の出しぬいがコバギリギリなのが気になります笑
236ラストのまとめとして癖がない分万人に受け入れられやすいラスト、その結果のロングセラーなのだろうなと妙に納得してしまうラストでした。やっぱりアーチの支えは…ですが^^;
340ラスト サイズ7E(George Cleverley名義)
続いては340ラストです。こちらはクロケット製造のGeorge Cleverley.
こちらについては色々と調べてみてもなかなかラストの情報が出てきません。グリーンでもラルフのパープルレーベルに出すときに微妙にラストの番号を変えて別注を出したりしていますが、これもその類かなと思っています。
上から見ると、かかとから外側がやや大きめに膨らみ、トゥにかけてまた小さくなっていく、グリーンの82ラストのような形です。甲は標準から少し高めかな。
トゥはややスクエア、セミスクエアトゥくらいかな。コバの張り出しも控えめでさすがクレバリー名義というところでしょうか。
ボールジョイントの部分は標準的な幅で程よくホールドしてくれます。少し、親指を噛みますがそれ以外は履いていて疲れず足が痛くなりにくいラストです。
こちらは内振りがよく効いているラストです。ウエストの絞りもしっかりしており、202よりもメリハリがあります。全長は29cm、幅は10.7cmとコバの張り出しが控えめのわりには幅があります。
340ラストは内振りとウエストの絞りでアーチの支えも一番あります。ウィズはそこまでタイトではないので、履きやすいラストと言えるでしょう。
302ラスト サイズ6.5E(モデル名:BRIMSTONE)
続いては302ラストです。こちらもクラシックよりのラストと言われており、上から見るシルエットは同じくクラシックラストの236と似た形をしています。New&Lingwood別注品のバタフライローファーも同じラストを使用しているそうです。
ボールジョイントからトゥにかけてばややカーブはきつめになっていますが、捨て寸が短いラストということもあるでしょう。サイズは6.5Eを選んでいますが、捨て寸はかなり少ないですが、かかとの抜けはなくボールジョイントからかかとまでの距離がジャストサイズの状態です。
コロンとしたシルエットですが、女性のパンプスのようにボールジョイントからトゥまでは距離が短いことがわかります。
捨て寸が短いため、履きはじめの頃はむくみが出てくると薬指の先がわずかに靴に触れる感覚がありました。幸い痛くなることはなくもう緩和されていますが本当にギリギリのサイズ感。
とはいえ、逆にこれを7Eにしてしまうと、甲の抑えが狭いBRIMSTONEではかかとがすっぽ抜けるでしょうから6.5Eでジャストです。
内振り具合、ウエストの絞りも緩やかで平面的なラストです。全長は28.1cm 、幅10.2cmほど。こちらもアーチの支えが欲しい…
302ラストのまとめとして、ローファーらしいフォルムながら、パンプスにも似たような捨て寸が短いラスト。ハーフサイズダウンで私の場合は問題なかったですが試着はした方が無難です。やっぱりアーチの支えは欲しい…(何度目)
224ラスト サイズ7E(モデル名:CHERTSEY)
最後は224ラストです。このCHERTSEYは自分にとって初めて買ったクロケットジョーンズの靴でとても思い入れがあります。2アイレットチャッカは着脱が楽ですごく重宝しますし、スエードの質も良いです。
224ラストも1960年ごろから続くラストで代表モデルがこのCHERTSEYです。どこか236や302のクラシックラストに形が似ています。
上からみてみると、内側もやや内側にふれており、ボールジョイントからトゥにかけて内からも外からもカーブを描いていくような形をしています。かかとは少し緩めの設計ですがブーツなので紐を締めてくるぶし周りでしっかりとまります。7Eがジャストサイズです。
トゥはソフトスクエアトゥ。言われるまでラウンドトゥだとばかり思っていたのですが、スクエアトゥの部類にはいるようです。
丸っこいシルエットはスエードということも相まって足馴染みの良さが想像できます。ボールジョイントはそこまできつくなく、トゥにかけてのカーブも緩めなので履いていて楽なラストです。
指先の部分は低く設計されているのか、親指の圧迫感が最初ありましたが、馴染んだ今は気にならなくなっています。
こちらも他のクラシックよりのラスト同様に、内振りもウエストの絞りも控えめです。なのでアーチのささ…全長は28.7cm 、幅10.6cmほどになります。ブーツなので短靴とは設計思想が違うのかも知れません。
224ラストのまとめとして、全体的にややゆったりめのフィット感。かかとは特に緩めなものの、ボールジョイントとくるぶし周りで固定できれば問題なし。スエードということもあり足馴染みは良いモデルです。
おまけ 317ラスト サイズ7E(モデル名:BURGHLEY)
こちらはすでに手放してしまったため、簡単に記載します。317ラストが使われたダブルモンクのモデル、BURGHLEYです。
こちらはサイズ7Eを選択しましたが、特に当たる箇所もなく1日履いていても疲れにくい良いラストでした。(アーチの支えは欲しいんですけどね)
手放してしまったのは、ダブルモンクの留め具にゴムがついておらず、非常に履くのに苦労したためです。こればかりは履いても履いても改善されず、自然と履く機会が減ってしまい手放すことに…
※リペアに出してゴムに変えるという手もあるにはあるのですが。
しかし、317ラストはハンドグレードでも使われるラストなので、レギュラーラインのこのモデルでも使われているのは少しびっくりしました。
ラストのシルエット
グリーンに続き、お絵かきレベルですがラストのシルエットを抜き出してみました。クラシックよりの236、302、224はよく似ているように見えます。
今度グリーンとも比較してみよう。
まとめ
クロケットジョーンズの5つの所有するラスト(と317ラスト)とそのサイズ感について記載いたしました。アーチの支えは物足りないなあと感じるものが多かったものの、万人に馴染みやすいであろうラストも多い印象です。主観になりますが。まとめたものは以下になります。
ラスト | モデル | サイズ表記 | ラストの特徴 | サイズ感 |
314 | BOSTON | 7E | 癖がない。アーチの支えは欲しいが合う人は多いのではないか | かかとの抜けもなくちょうどよく履ける。ウエストガースの押さえも効いている |
236 | CONNAUGHT | 6.5E | 全体的にゆったりとしたラスト。クラシックな英国靴といった印象 | ハーフサイズダウンでぴったり。 |
340 | -(George Cleverley) | 7E | 最も内振り、ウエストの絞りもありアーチの支えもある。 | ぴったり。少し親指は噛まれるが問題なし。 |
302 | BRIMSTONE | 6.5EE | パンプスにも似た捨て寸が短いラスト。アーチの支えはこちらも弱い | 抜けなしでぴったりだが、捨て寸には注意した方が良い |
224 | CHERTSEY | 7E | ソフトスクエアで柔らかな印象。ぼってりしたクラシックな形 | かかとはややゆるいがボールジョイントとくるぶしでの支えで問題なし。 |
足は立体のため、あくまでも私のケースであり万人に合うような共通の方程式を出すのは難しいかと思いますが、クロケットジョーンズの購入時のご参考になれば幸いです。
コメント
コメント一覧 (2件)
まるすけさん、こんにちは!ラストの豊富さはさすがクロケットですね。色々なブランドを履いてみると、たしかにクロケットはアーチの支えがもう一声ほしいなぁと思います笑
kaisei_yaさん、こんにちは!コメントありがとうございます。
調べるとすぐに新ラストの情報に当たるのもクロケットならではな気がします。
ですよね、アーチ、欲しいですよね笑。いろいろ履いてこそわかることもあるなあとしみじみ思いました◎