先日ご紹介したGRENSON MACCLESFIELD、早速プレメンテをして履きおろしをしました。
いつもはブートブラックのリッチデリケートクリームを2〜3日かけて塗布していく形で実施していましたが、今回のプレメンテは革靴会では比較的有名な御手洗メソッドなる履く前の3日間、履いた後の1週間、1ヶ月とメンテをする方法でやってみました。
※御手洗メソッドのやり方は色々あるようですが、要は油分と水分をしっかり時間をかけて馴染ませましょう、ということかなと思っています。
結果としては非常に満足のいく仕上がりで、元々サイズ感がタイトで革もやや硬めのしっかりした革だったので苦労するかなと思いきや、プレメンテのおかげで馴染みやすくなったのか随分と履きやすくなり、やってよかったです。
時間はかかりますが効果は見込めそうですので自分の備忘も兼ねて簡単に手順をご紹介いたします。
プレメンテ1日目
1日目に使用するのは上図のもの。革表面のロウ分をしっかりと落とし、油分と水分を補給するのが目的です。12時の方向から反時計回りに、
- 馬毛ブラシ
- サフィールのクレム ニュートラル
- ブートブラック リッチモイスチャークリーム
- お湯拭き用の布
手順は以下の通りです。
- 馬毛ブラシでブラッシング
- クレムをネル生地にたっぷり目にとり、ロウ分をしっかり落とす
- 火傷しない程度のお湯をかけた布を絞って靴をふく
- リッチモイスチャーを多めに塗布する
クレムのニュートラルはワックス落としに使える、というのは有名な話で、Y’s Shoeshineの杉村さんからも教えていただいたことがあります。
少量だとロウ分も取りにくいので、結構多めにとってしまいます。
よく革靴のクリームは米粒大のものをよく伸ばす、ということが書かれていますが米粒5粒分くらいはとります。これくらいの量を3〜4回くらいに分けて靴に塗り込むと、
しっかりとロウ分とクリームの類も落ちてきます。クレムのニュートラルは他のクレムよりもロウ分が多めで、こういった使い方に向いているそうです。
汚れ落としは使わずでしたが、状態次第では使った方が良いかもしれません。
その後、お湯をかけた布を絞り拭きます。
最後にリッチモイスチャーをたっぷりと塗布し、1日目は終了です。
このまま置いて、油分と水分をしっかりと浸透させます。
プレメンテ2日目
2日目に使用するのは上図のもの。水分を重視しつつ油分入っているナッパデリケートクリームを使って水分、油分を補給していきます。左から、
- 馬毛ブラシ
- サフィールノワール ナッパデリケートクリーム
- (写っていませんが)乾拭き用の布
手順は、
- 馬毛ブラシでブラッシング
- 布で乾拭き
- ナッパデリケートクリームを指で塗布
布で乾拭きすると1日目の余分なモノが拭き取れます。1日目も実施しませんでしたが、最後に豚毛ブラシでブラッシングしてみても良いかもしれません。
ナッパデリケートクリームもややたっぷりと塗布します。
その後、1日目同様にこのまま1日おきます。
プレメンテ3日目
3日目は仕上げになります。ここからはいつも通りのケアです。
使うものは左から、
- 馬毛ブラシ
- 豚毛ブラシ
- サフィールノワール ナッパデリケートクリーム
- サフィールノワール クレム
- ブートブラック レザーソールコンディショナー
- (写っていませんが)乾拭き用の布
手順は、
- 馬下ブラシでブラッシング
- 乾拭き
- ナッパデリケートクリームを指で塗布
- クレムを指で塗布
- 両足塗布後、豚毛ブラシでブラッシング
- 乾拭き
- ライニングにナッパデリケートクリームを塗布
- ソールコンディショナーをソールに指で塗布
3日目は特に特筆することもなく通常のケアと同様です。新品の靴なのでワックスは割愛しました。
3日間のプレメンテの結果
革に張りが出て非常に綺麗に輝いています。触った感じも柔らかくもっちりと。
普通のメンテナンスと基本的に目的は同じですが3日という時間をかけることによってより油分と水分が浸透するように感じました。
1度の浸透力には限界があるので、少しずつ順を追ってケアしてあげることで最大量の油分と水分が革に入るイメージ、かな。
なんだか画像加工しただけじゃねーか、みたいな比較画像になってしまいましたが、プレメンテ後はハリがあり、革がとても綺麗です。
表面だけではなくて底から光っているような…時間はかかりますが革のポテンシャルを引き出してくれるプレメンテ方法だと感じました。
履きおろし
自宅内で3時間ほど履いた後、思ったよりも馴染みが早そうだったのでその足で数十分の散歩に出かけました。
思った以上に足にフィットしており、103ラストは私の足に合いそうでこれからが非常に楽しみ。※流石に足は痛くなりましたが…
プレメンテのおかげもありシワも綺麗に入ってくれ、馴染んでくればワックスも載せて…と、履くのが楽しみな靴になってくれそうです。
まとめ
3日間かけるプレメンテですが、予想以上の効果が得られました。
ちょっと時間がかかるのは難点ですが、3日間のほとんどは放置しておくだけですので、履きおろしのひから逆算してメンテをするのが良さそうです。
当面はこのプレメンテ方法を続けてみようと思います^^
コメント
コメント一覧 (4件)
お疲れ様です。たぶん、まるすけさんのほうが詳しいと思うのですが、某フェイスブックグループで流行ってますね。
僕も、参加していて試そうと思ってたのですが、友人に「あれは、顔料仕上げを手っ取り早く取ってるだけで、本来、時間をかけて手入れすべき」と、否定されてしまいました…。
なので、今回試していただき、なるほどと思ってます。
某フェイスブックグループ、入ってるんですが、御手洗さんが結構熱く教えてくれます(笑)。
まあ、人それぞれで良いと思うんですが、この趣味は熱い人が多いので、なかなか難しいなという…。
ではでは、引き続きお願いいたします。
しんのすけさん、コメントありがとうございます!
私、Facebookのグループに入っていないので。もしかしたらきちんとわかっていないのかもしれませんが、
時間をかけて、とおっしゃられているのは3日間以上、ということでしょうか・・・?
革の状態や革自体の品質にもよってくるでしょうし、自分の満足いくようにできれば良いかなーと。
今回、結構効果あるんじゃないかあという実感があって他の靴でも試してN数増やしたいと思ってます!
お疲れ様です。最近のデュプイとかアノネイのレザーって、ベジタブルタンニンといいながら、表面が顔料仕上げになっていて、新品ですとヤレてくる(アジが出てくる)のに、たぶん1~2ヶ月くらいかかる。
たぶん、革の流通量が全体的に減ってきていて、顔料仕上げで質を保とうとしてる模様。
その最初の数ヶ月を短縮しようというのが、御手洗メソッドだと友人は考えているようです。
靴磨きは科学というのが、そのFBの基本なので、御手洗さんのいうことも、友人の言うこともわかるかな…。最初にできるだけ素っぴん状態でケアすれば、そのあとスムーズにケアし続けられるとは思いますが…。
おっしゃる通り、革の状態によってケアの仕方も変わるので、調整しながら楽しめば良いと思います。
ではでは、失礼します。
しんのすけさん、ありがとうございます!
なるほど、履く前のメンテ、というよりもその先も見据えて、履いてならしてを繰り返す、いわゆる自然にやるのが1番、といったところでしょうか。
おっしゃるように、ウエストンの革ですら顔料感が強くなってクラックも起きやすくなっているそうです(とある磨き屋さんから伺いました)
ビン靴に慣れてしまうと現代の革は…ということもなんとなくわかってきました^^;
引き続きよろしくお願いいたします!