早いものでお盆休みも後半戦に入りました。
自宅で過ごす時間がいつもよりも圧倒的に長いお盆休みに、鎌倉シャツから素敵な贈り物を頂きました。
鎌倉シャツの創業者、貞末良雄氏・タミ子氏を描いた「シャツとダンス〜『アパレルの革命児』が起こした奇跡〜」です。
鎌倉シャツができるまで、そしてできてからの物語が綴られており、元々好きなメーカーということもあって3時間ほどであっという間に読了しました。
鎌倉シャツにはポイントカードがあり、あるランク以上の会員に今回の書籍を送っていただいたようです。
鎌倉シャツと私
私が初めて鎌倉シャツを購入したのは、大学生の時です。
結婚式にお呼ばれして、その際に着用するドレスシャツを購入しました。
ご存知の通り、良質な日本製のシャツを当時は¥4,900で購入できるという学生にも手が届くシャツ。
当時は洋服は好きだったけれど、ドレススタイルなんて全くわからずに店員さんに結婚式で着用できるシャツ、ということだけ伝えて選んでいただいた記憶があります。
そこから就活にも活躍してくれましたし、仕事でも私服通勤→ドレススタイルへと変わった際にも、数を揃えなければならなかったためとてもお世話になりました。
39-83というサイズが私のサイズになるのですが、袖丈が足りない…そう言う事情もあり今でこそイタリアのシャツに傾向していますが、今までで最も着用し、そして数も購入しているドレスシャツは鎌倉シャツです。
シャツとダンス
今回の「シャツとダンス」は前述の通り創業者の貞末良雄氏・タミ子氏の出会いから鎌倉シャツの創業、そして発展までを小説としてまとめられたものです。
本のカバーも何気にアイビールックでよく使用されるストライプの柄になっているところがまたニクい。
一緒に同封されていた手紙には、貞末良雄氏・タミ子氏の長女、奈名子氏が今年から事業を継承したことも書かれており、世代交代を機にこの書籍も発売されたのかもしれません。
貞末良雄氏はVAN JACKET出身。
VANは名前は知っているものの全く詳しくなかったのですが、栄枯盛衰の様が描かれていて、アパレルの難しさ(百貨店の掛け率、プロパー消化率等)も読み取ることができ、個人的には非常に面白く読みました。
VAN JACKETが倒産して、いろいろなブランドを経て鎌倉シャツを創業。鎌倉のコンビニの2階で始まった鎌倉シャツが少しずつ話題になり、年間30万着を売るまでに。そしてメンズウェアの超激戦区、ニューヨークに出店し成功。
この成功には、常に顧客起点であったと言うこと。
鎌倉シャツの原価率は60%近くであることもそうであるし、シャツを作る工場、テキスタイルメーカーへも即断即決で不要な値下げ交渉はしなかったのだとか。
こういったビジネス的な話が中心になりつつも、良雄氏とタミ子氏の恋愛模様も描かれ、「シャツとダンス」の題名の理由も描かれています。
あまり詳しく書くとネタバレになるので、心に残った文章をいくつか引用します。
そもそもファッションは人々の情緒に訴えかける商売だ
命の次に大切だったのが服装だった。戦う男は服への投資を惜しんではいけない。
ふくわうちの記事でも記載しましたが、機能だけを求めるのなら服は数必要ありません。まさに情緒、そして気を引き締めるため、高揚させる為のモノだと思います。
はじめからセール価格だ。買った商品が翌日には半額になっていただなんてお客さんに失礼だろ。
気温や湿度も季節的によくわからなくなっている今、セールになる可能性がある、それも極めて高く、ならわざわざプロパーで買う必要はほぼなくなってきているのが現状です。MTMやビスポークが多くなってきている一因にもなっていると思いますし、こうしたセールをしないブランド(最近、マーガレットハウエルもなりましたね)は貴重です。
元々好きだった鎌倉シャツが、そのストーリーを知ることでより好きになりました。
鎌倉シャツが好きな方はもちろん、買ってみようかなと思われる方にもおすすめです。
ただでは終わらぬ
好きだと言っておきながら、39-83と言うサイズだと身幅などは問題ない(どころかとてもフィット感が良い)ものの、袖丈が短く少しずつ買わなくなっていた鎌倉シャツですが、シャツとダンスを読んで感化され、MTM(パターンオーダー)を1枚お願いしてきました。
「シャツとダンス」でも丸ビルへの出店は非常に重要視されていた様子が描かれていたため、丸ビルの鎌倉シャツでTHOMAS MASONの120双糸で1枚。
こちらは3週間後に出来上がる予定ですので、またご紹介できればと思います。
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