はじめに
感動した。
その一言。
まだまだ経験は浅いけれども、これこそがビスポーク、と体感することができたと思う今回のオーダー。
前編では、ユナイテッドアローズ六本木店のトランクショーにて、デザインや革を決め、1回目の仮縫いを行うところまでをお届けしました。
仮縫いの段階からすでに期待値は上がっていたけれど、ここからさらに中縫い、納品へと進むにつれて、想像を超える時間が待っていました。
今回は後編として、中縫いから納品、そして実際に履いてみての様子をお届けします。
攻めの中縫い

中縫い。会場はいつも通りUA六本木店。COLとの合同トランクショー。
仮縫いで大枠を捉えていただいて、諸々攻めてもらった中縫い。1回目の仮縫いでも十分にフィットしているように思いましたが、当然のように中縫いのフィッティングはさらにその上。



私の足は1の甲が薄いのと、薬指、小指が比較的長い。そしてくるぶしもやや低く、踵も細い、全体的に脂肪の少ない足。でも華奢ではないというなんか言語化しづらい足。
というかそれは私の身体の特徴かも知れず、腕と足は脂肪がつきにくく、顔とお腹に脂肪がつきやすい全体最適もあったもんじゃない、奇形腫なの?と思うような特徴。もういや………余談が過ぎました。
なのでさらに攻めても良いだろうと甲と小指付近、そしてくるぶし下、踵を調整いただくことに。この辺りも今まで色々な靴を履いてきて、もっといけるだろう、という感覚が私の中にあったことと、何より鈴木幸次さんの圧倒的なご経験からくる触診精度の高さ。安心感を持った上での相談ができました。

その修正ポイントを元に、お願いする革を改めて確認。デュプイの細かなシボ。スピーゴラで扱う革は一級品しかないと聞きますので期待しかない。
SPIGOLAの靴自体はもちろんのこと、対話で完成度を高めていくこと、そしていつもお世話になっているUAでのオーダーということもあってリラックスした状態で臨めること。私にとってはこれ以上ない環境。最高の状態で納品を待つことになりました。
感動した納品
納品も同じくUA六本木にて。当日まで非常に待ち遠しい時間でした。初めてのSPIGOLA、ということも大きいでしょう。初心忘れるべからず。

軽く挨拶を交わして、完成した靴との対面。
っっったまらんっ!!たまらんぞこれは!!!
思っていた通りの造形、攻撃的なトゥ、そしてバランスの取れた全体感。私の乏しい語彙力では表現しきれない何かで溢れている。なんでもっと国語勉強して読書してこなかったのか私。



低い。とにかく低い。こんなの作れるのと思うくらい低い。
低い低い言ってたら、低いしか言ってないよって突っ込まれた。でもそれくらい低い。
甲の部分もくるぶしも、メリハリが超絶きいている。

造形美と制作美に圧倒されながらもまだもう一つある圧倒。靴は履いて快適でなんぼ。
足いれ。
シュポッ
って鳴ったことにあまり意味はない。
足がとらえたその感覚に意味がある。つつんで欲しいところが全てつつまれ、そしてゆとりが欲しいところはゆとりがある。
特に踵のフィッティングはやめられない止まらない。たまらん。履いてもたまらんぞこれはっ!!!!
…少々取り乱しましたが、この時の感動は忘れられないものになりました。圧巻です。
側から見たらニヤニヤが止まらない私、さぞおかしかったことでしょう。でも素晴らしい体験だったのです。
次のオーダーをすることはもう決まりました。すぐに次を頼みたかったけれど、まずは履いてみて、自分なりに言語化することを優先しグッと我慢(財政的にもね)
ああ、楽しみだ。
靴の全体像と詳細











隙がどこにもねぇ…!!
フィッティングとともに造形に対してもそう感じる一足。
私にとっては数少ないエッジの効いたチゼルトゥ、そこから繋がるシャープな形。その分少しノーズは長いけれどそれを感じさせないバランス。ピンキングはウイングの部分だけ。多分それも一役かっているだろう。
細かなシボの中にも存在感を示すメダリオンにパーフォレーション。そして後ろ半分は1枚で作られているイミテーション、当然のようにシームレスヒール。
閂止め、ソールも含めて立体的な造形は複雑を示しつつ美しさが両立、ウエストの絞り、チッ、アッパーから繋がるヒールの曲線美、そしてラステッドツリー。どこを見てもニヤニヤしてしまう。たまらん。
そして革質も間違いなく良い。もっちり肉厚、でも無骨さは感じない。ジャケパンにもデニムでカジュアルにも合わせやすいバランス。意図していた通りの靴に仕上げていただきました。
履いても何しても文句のつけようがない


はきたくてはきたくて。
納品いただいた次の日にははき下ろしていました。フィッティングの感動再び。
15分くらい試しに歩いてみようと思っていたら、気づけば快適すぎて1時間は歩いていました。それくらい私の足との相性抜群。
シワも当然のように左右均等に入り、かつシボだけれども繊細なシワ。
まるで履いてないみたい!
…そんなわけはない。というか、逆にしっかり履いている感覚がありそして一体感が生まれていることに革靴の意味があると感じるのです。
一歩一歩、歩くごとに嬉しくなる靴、そんな一足を仕上げていただきました。
おわりに
これ以上靴は要らないのではないか、とか思っていたけれど、むしろこれからも、と思うきっかけになった(なってしまった?)一足になりました。そして手に入ったのは素晴らしい靴だけでなく、鈴木幸次さんととの出会い、そしてユナイテッドアローズ六本木店のスタッフの方々と過ごした最高の時間。
まだまだ語れるほどの経験はないけれど、今回のSPIGOLAはガシッと心を掴まれた経験になったのです。それはもちろん、SPIGOLAの鈴木幸次さんだから、ということもあるけれど、既成靴含めなんとなく自分の足に合うものは何かがようやくわかってきて、そしてCOLの皆様、霜崎さんに作ってもらった靴を通じてポイントがどこになるのかが言語化されたこと、関わってくれた方と私の経験がかけ合わさったからこそ、1足目からうまくいったのではないかと勝手に思っています。
これが冒頭にある、まさにビスポークである経験、という体験ことだと私は感じました。
改めて、素晴らしい1足をありがとうございました!

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