既製靴の最高峰ともいわれる東欧ハンガリーの靴メーカー、VASSの第五弾はロベルト・ウゴリーニ氏制作のイタリアンラスト、Uラストです。
先日ご紹介したShoji Worksの豚毛ブラシのポストでチラッと写っていたのが今回ご紹介するUラストのBudapest Oxfordになります。
こちらは9月ごろに突如行われたFlash Saleで購入したものです。ブルーミュージアムカーフのなんとも言えない色味でずっと気になっていたこのBudapest Oxfordが対象になっていたので反射的に。
Uラストはイタリアンラストを制作するロベルト・ウゴリーニ(Roberto Ugolini)氏の頭文字からとられたそう。
第四弾までのF、P、P2、Kラストに続き、このポストではBudapest-Oxfordモデルの詳細、Uラストのサイズ感、革質、かかる関税などもお伝えいたします。ご参考になれば幸いです。
Budapest Oxford Uラストの詳細
今回購入したBudapest Oxfordはこちら。
いつもの通りハンガリーから到着してサイズ確認のための試着後に撮影したものです。
ご覧の通り形は内羽根のウイングチップでセミスクエアトゥ、ノーズはそこまで長くありません。Kラストのノーズを短くしたイメージです(Kラストの方が新しいと思うので逆かな)
VASSではウイングチップは本拠地の地名であるBudapestと名付けられており、内羽根はOxfordが付きます。
革はブルーミュージアムカーフ(Blue Museum Calf)
FラストのItalian Oxfordに使われているGold Museum Calf、KラストのLondon-3eyeletに使われているWalnut Museum Calfと同様にイルチアのミュージアムカーフです。
光が当たると、ご覧のように茄子紺のような色味、遠目から見るとかなり黒に近い。
このBlue Museum CalfはGold、Walnutと比較するとやや厚みがあるように感じます。Blueだからなのか、単なる個体差なのかはわかりませんが…
サイドビュー。
見事な流線型。流れるようなラインで靴の造形として非常に綺麗です。
メダリオンもやりすぎずでバランスが良い。
ヒールは相変わらずのシームレスヒール。
F、P、P2、Kと今までご紹介してきたラスト同様にヒールカップはとても小さく設計されており、フィット感に期待が持てます。
VASSは本当にかかとが抜けない。複数のラストでかかとが抜けない、しかも履きはじめから抜けないというのは他のブランドではなかなかありません。
私の足との相性が本当にいいのでしょう。
ソールはもちろんレンデンバッハ…ではなくこちらはダイナイトソールです。
面白いのは、縫いがかけられているのはトゥの部分だけなこと。
ウェルトは間違いなくありますので、トゥ以外は接着だけなのかな?
オールソールするときに、どんな構造になっているのか聞いてみよう…
純正シューツリーは当たり前、それがVASS.
Uラストの形に合わせて、ボールジョイントからトゥまでが三角形に絞り込まれています。
…相変わらず、隙間なくピタピタのツリーというわけではないですが^^;
小窓なしのライニングに直書きのサイズ表記、インソールのフルソックは今までのご紹介した物と変わりません。
ウイングチップにUラスト、そしてブルーミュージアムカーフがかけ合わさって、造形的に非常に美しい靴になっていると感じます。
Uラストの特徴
今回のBudapest OxfordはUラストです。
Fラスト、Kラスト同様に、ロベルトウゴリーニ氏が作ったもので、前述の通り氏のイニシャルであるUをもじったラスト。
ボールジョイントのあたりからトゥにかけて細くなっていく様は、エドワードグリーンの88ラストなどにも似た雰囲気を持っており、正面から見るとかなり捻れています。まるでビスポークのようです。
ソールから、しっかりと内振りが効いておりKラストと比較するとウィズにもやや余裕があるように見えます。
サイズ感や履き心地は後述しますが、ウエストはそこまで絞っていないかなと思いきや、踏まずの突き上げがかなり効いた、心地よいラストです。
プレメンテ
プレメンテはいつも通り3日間プレメンテを実施しました。
今回使ったクリーム類は以下です。
- デリケートクリーム:サフィールノワール ナッパデリケートクリーム
- 保湿クリーム :ブートブラック リッチモイスチャー
- 油性クリーム :サフィールノワール クレム1925
- ソール :ブートブラック レザーソールコンディショナー
いつも通りで代わり映えしませんが…Shoji Worksの豚毛ブラシを今回は使いました。
他のミュージアムカーフの扱いと同様にムラ感を殺さないように、当面はニュートラルでのケアを継続してみようと思います。
※3日間プレメンテは以下をご覧いただければ幸いです。
Uラストのサイズ感
プレメンテをしたのちに履き下ろし。
私はUK7E、US7.5D、25.5cmを選ぶことが多いですが、以前、VASSにサイズ感を問い合わせた際に、Fラストで40.5ならイタリアンラストのU,K,Sラストは同サイズで基本的にOKと聞いたため、サイズは40.5(UKだと6.5に相当)を選びました。
VASSからの回答通り、F、Kラストで40.5を履く私は40.5でジャストかなと感じます。
私の中ではイタリアンラストの中で最もフィットしているのがこのUラストです。踏まずの突き上げが何よりも気持ちよく他のラストで気になった1の甲と靴との空間も少ない。
爪先はやや細いので、Fラストでウィズがきついと感じる場合はハーフサイズあげた方が良いかもしれません。私の場合はFラストでウィズはジャストなので細く感じますが馴染めば問題ないレベルですし、履き口がわずかに笑ってしまうこと以外は、かかとのホールド感もよく履き心地も良いです。
イタリアンラストであれはUラスト、VASSオリジナルのラストであればP2ラストと、性格の異なるラストで非常に満足度の高いものがあるのは◎
私の足の場合ですが、サイズ感の参考になれば幸いです。
※私が履いたことのある靴のサイズ感は以下をご参照ください。
革質
イルチアのミュージアムカーフは触るとしっとりとしていて、Gold、Walnutと同様にキメの細かいシワが入ってくれます。
この写真からも質の良さがおわかりいただけるのではないでしょうか?
日に当たると、茄子紺の色味とミュージアムカーフのムラ感が強調されます。いつも同じことを書いていますが、履き込むとこの色味がどう変化していくのか、エイジングが非常に楽しみです。
購入先、価格と関税
こちらもVASSのオンラインショップから購入しました。購入費用は以下の通りです。
※1ユーロ=123円で計算しています。
靴 | €220 → ¥27,060 |
送料 | €40 → ¥4,920 |
関税 | ¥6,000 |
合計 | ¥37,980 |
関税も今までと同程度、Flash Saleでなんと50%オフで購入することができたので非常にお得感が強く、そして満足度も高い買い物となりました。
フルハンドでこの価格…今回のものは出し縫いが少ないとは言え、もうなんだか色々と後には戻れない気がします^^;
まとめ
VASS Uラスト Budapest Oxfordモデルのご紹介でした。
改めて靴の仕様・価格などをまとめると以下になります。
モデル名 | Budapest Oxford |
革 | イルチア ブルーミュージアムカーフ |
ラスト | U |
ソール | ダイナイト |
付属品 | 純正シューツリー |
サイズ | 40.5 |
価格 | ¥37,980 |
まだまだ真価がわからないところではありますが、今回も非常に満足度の高い物となりました。
さて、ご存知の方も多いかと思いますが先日VASSもブラックフライデーセールを実施していました。
その時に私は、あのgohkitiさんを巻き込んでイタリアンラストのトリを飾るSラストを購入したのですが、それはまた次回にご紹介いたします!
コメント
コメント一覧 (2件)
まるすけさん、こんばんは!
先日お誘いいただき購入したFラストは相当気に入っていますが、Uラストも良さそうですね。
ミュージアムカーフにもこんなにも様々なカラーバリエーションがあるとは思わず、
黒ともネイビーともつかない茄子色が上品でとてもいいですね。
同じブダペストのはずなのに全く違ってついつい惹かれてしまいます(これがVASS沼でしょうか)。
Sラストのレポートも楽しみに(?)しています(^^)。
gohkitiさん、こんばんは!コメントありがとうございます。
本当、気に入っていただけて良かったです^^
UラストはFとは形も違いますし違うブランドのような感覚になります^^いろいろなラストで楽しめるのもVASSの魅力ですね。
このブルーミュージアムカーフの色味、光の当たり方によって変わるので面白いです◎
Sラスト、こうご期待?ください^^;