革靴を分解して構造を理解する【ソール編】【グッドイヤーウェルテッド製法】

諸事情により片足しかないAllen EdmondsのBaltic.

片足しかないと本来の靴としての機能は全く果たせず、ディスプレイにするくらいしか活用方法がないなあと思っていたのですが、今週から夏休みでまとまった時間が取れるということもあり思いきって分解してみることにしました。

何事も百聞に一見にしかずと言うことで、3回に分けてお届けします。

Contents

分解する靴

分解するのは前述の通りAllen Edmonds Balticです。アレンといえば、360°グッドイヤーウェルト、スチールシャンクなし、釘も最小限ということで有名。

ヒールのあたりのカックンデザインが素敵な奴。シボの雰囲気も良く片足しかないのが本当に勿体無い^^;

旧ロゴのアレンになり、ヴィンテージシューズ靴というにはちょっと若いですが、現行に比べれば高いクオリティの頃のアレンになります。

使用した道具たち

我が家にある使えそうな工具類を。

…貧弱w

・マイナスドライバー
・ペンチ
・カッター

これらで難しいところがあれば別途考えるとしてとりあえず進めることにしました。

ソールの分解スタート

まずはアレンおなじみのV字トップリフトから外していきます。釘打ちもないので接着のみでくっついているはず。簡単に取れるでしょう。






…いきなり取れませんw
かなりの粘着力でくっついてます。

接着だけでも十分な接着強度をもち、化粧釘がなくても十分成立すると言うことがわかります。

 

先に進まないことにはどうしようもないので、根元からとってしまうことに。マイナスドライバーで隙間を少しずつ広げていきます。  

釘のようなものと360°グッドイヤーの糸が見えてきています。ここからはてこの原理でバコッと外しました。

 

リフトは革の積み上げ、少しわかりづらいですが、MONTELLO HEEL.COと記載があります。1908年からヒールを作っているアメリカのメーカーのようで、現存する会社のようです。 さすがにヒールは釘を使ってますね。釘は7本。ぐるっと360°の縫いはとても綺麗です。
※追記:よく見ると釘、と言うよりもネジに近そうです。

続いてソールを剥がしていきます。リペアなどの動画では、いわゆる包丁を使って糸を切ってますが、代用でカッターを使って切っていきます。

 

こちらは結構スムースに進みました。糸がざくざくっと切れていくのが気持ち良い。

サクッとダブルソールの一枚が剥がれました。

剥がしたソールの裏面にテープのようなものがついてます。これは用途不明…

 

ソールが一枚、リフトがなくなるだけでもかなりすっきりした印象になりますね。いかにソールの厚みが革靴の意匠として重要かがわかります。

ソールのもう一枚も同じように剥がしていきます。

作業の様子を動画で。
(思いっきりユニクロのステテコですみません^^;)

こちらもザクザクと糸を切ってどんどん。あっという間に剥がせました。ソールにも接着剤が塗られていますが、こちらはトップリフトほどの強度はありませんでした。

黒い部分がいわゆるシャンクに当たるような部分でしょうか。鉄ではなくプラスチック、一般的には足のアーチの部分くらいまで伸びるので、かかと部分を中心に保護する部材になります。アレンの屈曲性はこの短いシャンク的な何かによって生まれるのでしょう。

コルクの敷き詰めはびっちりと言うよりはほどほどと言った感じ。 一枚目と同様に謎のテープが…これはよくわからないですね^^;

と言うことで、まずはヒールとソールを分解してみました。 次回はコルクとウエルトを分解していこうかと思います!

あわせて読みたい
革靴を分解して構造を理解する【ウェルト編】【グッドイヤーウェルテッド製法】 Allen Edmonds Balticの分解、第二回になります。前回まではソールを3枚おろしにしたところまできました。今のところ自宅にある普通の工具でなんとかなっていますが、果...

コメント

コメント一覧 (4件)

  •  まるすけさん

    おお、なんか昔の『最高級靴読本』の企画みたいですね。
    でも、簡単にやられているようで、さすがエンジニア。たぶん、僕にはこんなに簡単にできないと思います。

    アレン、コルクもたっぷりでさすがですが、結構大きいシャンクが入ってるんですね。履きごごちがどういうふうに違うんだろ?というかんじですね。

    次はウェルトですか。古めの靴をオールソールすると、けっこうウェルト交換で+5000円になっちゃうんですよね。合計20000円だと、そこそこのビン靴が買えます(笑)。どれくらい保つのか興味があります。

    ではでは失礼します。

    • しんのすけさん

      あ、確かにそんな企画ありましたね。私が靴に興味を持ち始めた頃の企画だった気がします。
      結構苦戦するかなと思ったのですが、意外とすんなり行きました!特別な作業はないので大丈夫かと◎

      シャンクはヒールまるまるホールドする感じですね。短いので返りは良いのかなと。ウエルトの方もアップしましたが、確かにリウェルトは大変だわと思う内容でした笑。ぜひご覧になってください。

  • 自分もやってみたいんですけど、実行しても惜しくない靴がなかなか見つかりません。
    敢えて挙げるならば、コルファム靴ですかね。Wright Arch Preserver Shoes ですから、分解したら面白いとは思います。

    アレンの都市伝説の嘘が明るみに出ましたね。
    釘は使ってるし、シャンクもある。
    代理店のせいなのか、マスコミのせいなのか、アレン自体の誇大広告なのか?昔はそうだったのかもしれませんね。ただ、間違いはキチンと訂正しなければいけないと思います。我々は、自分で見たこと、確かめたことしか信じられなくなりますよねえ。

    • なおけんたさん

      コメントありがとうございます。

      私もこの片足のがなければ実行できなかったと思います。コルファムの造りがしっかりしていれば、当時のコルファムの位置づけもよりはっきりしそうで面白そうですね!

      分解がN=1なので断定はできないかもしれませんが、なかなか線引きが難しいところですね^^;
      引き続きアップいたします!

コメントする

Contents