ホーウィンのクロムエクセルを使ったFil shoesのファーストメンテを実施しました。
きっかけはFil shoes石田さんよりアフターフォローという形で、メールをいただいたこと。
「Fil shoesでは納品後からがお付き合いの開始です」
前回のポストの最後にもお伝えしましたが、Fil shoesが大切にされておられるのが納品後のフォロー。実際にフォローいただいたことで納品後にもしっかりと付き合っていけることを実感しました。
ホーウィンのクロムエクセルレザーで私自身初めて扱う革だったので、手入れ方法についても相談し、いい塩梅にケアができたと思います。
クロムエクセルで作られた靴のお手入れについて、Fil shoesさんとのやりとりも交えてご紹介いたします。
ホーウィンのクロムエクセルレザーについて
Chromexcel is the original pull-up leather; using time honored techniques and formulas that were developed nearly 100 years ago. Chromexcel is still produced in the United States using a bark retannage from a proprietary recipe, and then genuine hot stuffed with our secret blend of natural oils and greases. Chromexcel is characterized by a rich pull-up in full aniline, hand rubbed finishes. Made to this day with old world craftsmanship, modern Chromexcel carries on a long history of superior comfort and durability.
https://www.horween.com/articles
当ブログをご覧の方でしたらご存知の方が多いと思いますが、クロムエクセルはアメリカ・ホーウィン社のレザー。シェルコードバンと双璧をなすものです。
上記はホーウィンのHPから引用していますが、要約するとクロムエクセルは100年前に作られたレシピを使用。独自に配合したオイルとグリースでなめすことで油分を豊富に含む革に仕上げている、と言ったことが書かれています。
クロムエクセルは「クロム」と名のつくようにクロムなめしをし、その後タンニンなめしをする混合なめし。
混合なめしにすることで、クロムなめしの特徴である耐熱性と柔らかさ、強さを持ちつつもタンニンなめしの特徴であるエイジングも期待できる、それらの特徴をそこそこのレベルで併せ持った革になります。(レザーソムリエの勉強が役に立った^^)
また、クロムエクセルの特徴として石田さんから伺っていたもの及び、よく言われるのが以下です。
- 油分が豊富
- 柔らかく馴染みが早い
- 傷がつきやすいが修復もしやすい
- 大きなうねりのあるシワが出やすい
今回はお手入れということで、3を中心に確認していこうと思います。
手入れ前の状態確認
完成してから5回ほど、合計40時間ほど履いた状態です。
シューツリーを入れている状態なのでシワは伸びていますが、ヴァンプに少しうねりが見えてきているのがお分かりいただけるかと思います。
また、最初はかなりタイトでしたが馴染みが早いと聞いていた通り、今では程よいタイトさで快適にはけています。マッケイとクロムエクセル、良い組み合わせです。
柔らかく傷がつきやすいクロムエクセル。その特徴のままに、かかとには凹みがちらほらみられます。
デスクワークなどで椅子の脚など、どうしてもかかとはぶつけがちなのでそんなときにできた凹み傷かもしれません。
修復力が高いとされるクロムエクセルですが、どこまで治るのでしょうか?
お手入れのアドバイス
Fil shoesの石田さんに、凹みについて何か良いケア方法はあるか伺ったところ、以下の回答をいただきました。
ヘコミはクリーム入れとブラッシングの際にご一緒に、クリームの瓶の滑らかな部分やペネトレイトブラシの柄で撫で付けるようにすることで改善されます。(写真1枚目)
Fil shoesでは手のひらマッサージ用の滑らかな木材を使っております。(写真2枚目)
具体的なアドバイスをいただけて本当に助かります。イメージとしてはコードバンの毛羽立ちを寝かせるような手入れ方法ですね。
このアドバイスを元に凹みは対処してみようと思います。
クロムエクセルのお手入れ
今回使用したケア用品はこちら。左から時計回りに、
- Boot Black ツーフェイスプラスローション
- Boot Black ソールコンディショナー
- Wren’s デリケートジェル
- Brift H THE CREAM
- カッサ棒
2はソールのケア剤なのでクロムエクセルとは直接関係ありませんが、油分補給はあまりいらないとみてデリケートジェルとTHE CREAMを選んでいます。
ブーツやワーク系の靴であればオイルだけ、もしくはブラッシングだけでも十分とされるクロムエクセルですが、ドレスシューズなのである程度の光沢感は持たせたいため、通常のドレスシューズのケアと同じイメージで磨くことに。
汚れ落とし
鈍い光を放っていたクロムエクセルですが、ツーフェイスローションでささっとやるとすっきりした表情に。
デリケートクリームを塗布
こちらも指でささっと。水分が入るだけで革に潤いが戻ります。
THE CREAMを塗布してブラッシング
THE CREAMを指で塗布して、ブラッシング。光沢感が出てきました。
凹みをならして目立たなくする
普通のカーフレザーであればここまででも十分ですが、今回は凹みを目立たなくできるのかの検証が一番の目的。
強めにブラッシングをしても、上図の凹みはそこまで改善されなかったのでカッサ棒でグリグリやってみます。
カッサ棒をローラーを押し当てるようなイメージで、凹みとその付近を押し慣らすようにします。
このとき強く擦ることをしてしまうと別の傷を作ってしまいそうだったので、押して慣らすイメージで。
押して慣らすとこんな感じになります。これは凹みが大きくなっているように見えますが、ここからさらに強くブラッシングをすると…
こんなに綺麗に!
ここまで綺麗になるのであれば、凹みは怖がらずにすみそうです!
before after
右足も凹みができていたので同様に。こちらも問題なく綺麗になったので再現性も高そうです。
なんでこんな風に凹みがなくなるのか?柔らかいが故に一部の組織が寄ってしまったのを元に戻してあげたようなイメージでしょうか?歯磨き粉の入ったチューブみたいな…(よくわからん笑)
なんとなくで想像するしかありませんが、クロムエクセルの凹みは簡単に対処できそうなことが分かりました。石田さんにアドバイスいただいてよかったです^^
まとめ
初めてのクロムエクセル、初めてのクロムエクセルのお手入れでしたが、クロムエクセルの特徴である「傷や凹みができやすいが修復しやすい」を実感できた形になりました。
まだまだクロムエクセルについては深く理解できていませんが、このFil shoesは出張でたくさんお世話になるであろう靴なので、どんどん履いて特性を身をもって理解していこうと思います。
改めて、アドバイス下さったFil shoesの石田さん、ありがとうございました^^
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