私が一番好きな大手セレクトショップのUNITED ARROWS、今年は35周年ということで色々な記念アイテムがリリースされています。
その中で、事前の告知がなかったこともあって一番びっくりし、かつこれはぜひ手にしたいと思ったのが今回購入したT.Shirakashi Bootmaker初の既成靴、Royasです。
LES LESTONでトランクショーを開催されておられたりして、もちろんその存在は知っており、横浜という私にとって縁のある土地にアトリエがあることからも気になっていました。
そんな期待を上回る、素晴らしいブーツと出会えました。ご紹介させてください。
T.Shirakashi Bootmakerについて
横浜でハンドメイドによるビスポークシューズやブーツの製造・販売を行っているブランド。
流行に左右されない耐久性のある製法や厳選された素材、そして伝統的なデザインを重視し、長く愛される靴を提案しています。
「勤勉で信頼される」というカントリースタイルを追求し、お客様に長くご愛用いただける靴作りを常に心がけています。
RoyasのUA紹介ページからの引用です。横浜の山下町にあるビンテージマンションの一室にアトリエがあるそうです。
ブランド自体はインスタグラムなどを通じて知っており、靴も画面越しでは何度も見たことがありました。ですが実際に手に取り、その目で見たことはありませんでした。
HP等も何度か拝見したことがあったのですが、ブーツのみならず短靴もかっこいい。特に外羽根のモデルで気になるものが多いですね…BESPOKEはもちろんMTOからでも試してみたいな…でもその前にRTWを手にできるならまずはそこから、と思って今回の別注には飛びついたのでした。
SOVEREIGN別注 T.Shirakashi Bootmaker “Royas”
Royasはロワイヤと読むそうです。読み方がフランスっぽいと思っていたらリヨンの南東に実際に地名があるようです。ブーツのテーマは英国の田舎のお坊ちゃんが履くような、カントリーブーツのデザイン。このブーツを履いてツイードのジャケットなんかを着て、フランスに出かける…なんて想像。まさにいいとこのこ、お坊ちゃん。
今回の企画向けにラストも新しく制作されたそうです。日本のビスポークシューズメーカーが作るラストなので、日本人にもよくあいながら、作り込まれたラスト。こちらについては後述します。
全体像
こちらがRoyasの全体像。キャップトゥ、外羽根の外はとめに上二つがフックの仕様、コバのマットな仕上がり…カントリーブーツそのもの。だけどどこか上品さも感じることができ、フランネルやコーデュロイなどのスーツにも合わせられそうな雰囲気です。むしろ上品に履きこなしたいブーツ。
革はワインハイマーのデッドストック。2000年代初頭のものだそうで、今回限りでもう在庫はないそうです。カントリーブーツですし、見た目からはがっちり硬いのかなと思っていたらびっくりするくらい柔らかくしなやか。この革、もし選べるなら選びたい…
アッパーの縫製はビスポークのご担当をされている方がこちらのブーツもご担当されたとのこと。縫製も一針一針丁寧で美しい仕上がりです。
詳細
このブーツのアイコン的な部分は、羽根の付け根に入ったホワイトステッチ。悪目立ちせず良いアクセントになっています。また、上二つのフックはドイツ製のヴィンテージだそうです。
キャップにはダブルステッチとシングルステッチ、合計3本のステッチ。非常に柔らかい革なので、釣り込みでシボが伸びてしまいそうですが、綺麗にシボが残っています。シボが薄くなっていることが美しい場合もありますが、このブーツの場合はしっかり残っていた方が良いですよね。
ウエストがしっかり絞られているのがここからでも分かります。ヒールからかかと、トップラインにつながる曲線美。また、シャフトの部分が細く絞られており、柔らかな革と合わせて、かかとから足首をしっかりホールドして心地よいフィッティングになることが想像できます。
右足の内側にはT.Shirakashi Bootmakerのブランドアイコンである毛鉤のステッチ。ブラウンとグリーンのコントラストが控えめながらも映え良いアクセントに。こちらは横浜のアトリエで一つずつ縫い付けたそうです。
収まりの良さそうなかかと。こうしてみるとシャフトの部分もスッキリしていますね。履くときに使うルーピングはイギリス製だそうです。こだわりが満載のブーツ。
もう一度トゥ付近を。かなり低く抑えられていて、かつ少しチゼルトゥのように角度がついています。幅はそれなりに取られているので、快適さをキープしながらも甲はしっかりと抑えるように設計されているのかなと感じました。ただ、この低い甲を、さらにやわらかい革を使ってマシンで釣り込むのはかなり難しいらしいです。それを感じないほど綺麗に作られています。
ソールはリッジウェイ。ラバーソールの中で一番好きなソールです。天候を気にせず履くつもりなので嬉しい仕様。カントリーブーツですから多少道が悪くても気にせずどんどん歩くべき靴でしょうしね。
袋ベロ。足あたりが良いスエード面がそのまま。何気にこの仕様嬉しいですね。写真を撮り忘れてしまったのですが、このベロの部分も最初から足に合うようにクセづけされていて、確かに履いた時になんの違和感もなくスッと馴染みました。
嬉しい手書き。フック、鳩目の留め部分もすごく綺麗ですね。綺麗が何回出てくるんだと思うくらいかいている気がしますが、本当に綺麗なのです。
両ブランド揃ったソックシート。どこかがかけてたりすることも多いのですが、めちゃくちゃくっきり。本当に細部まで抜かりなく、こだわりが詰まった一足です。
購入先
購入先は六本木アローズ内にあるSOVEREIGN HOUSEです。発売翌日くらいに伺ってまずは試着をさせてもらいました。
現物を見た時は幅が広めで少し野暮ったく見えるのかなと思っていましたが、履いてみたら全くそんなことはありません。かといって細すぎず、カントリーブーツであることもしっかりと主張されています。フィッティングも良好です。
色は2色展開。写真右足のダークピート(MOCA)、左足の アメリカーノ(DK.BROWN)、この2色展開というのがまた面白い。(おそらく、革の都合だとは思いますが)
最初はダークブラウンの方かな、と思っていたのですが、現物を見て履いてみるとモカブラウンも捨てがたい…ここはめちゃくちゃ迷いました。
散々迷った挙句、信頼できるスタッフの方のアドバイスもありモカブラウンに決定。結果的に大正解だったと思います。
なお、当日は日曜日でBrift Hの磨きがアローズ六本木店で受付されていました。これも何かの縁かなということでプレメンテも併せてお願いしたのでした。Brift Hは先日アローズのグループ会社になったこともあって、これからお願いする頻度が増えそうです^^
最初から足馴染み◎の素晴らしいブーツ
ということで早速履き下ろし。試着時の足馴染みの良さはそのままに、履き下ろしから硬さを感じません。革の柔らかさもありますが、かかとからシャフトのホールド感、加えて甲のホールド感、ともに素晴らしいです。その一方でウィズは程よいゆとりがあり、窮屈さを感じる箇所はありません。
羽根の開きも綺麗に平行に並んでいます。これはパターンの設計の妙らしく、かなり計算された結果だそうです。既成靴とは思えない完成度の高さ。
さりげなく見えるブランドアイコンの毛鉤に、羽根のホワイトステッチ。これ見よがしではなくさりげなさが良いですよね。
履き下ろしだったので30分程度の散歩のつもりだったのですが、あまりにも調子が良かったので1時間以上歩いていた気がします。それくらい歩きやすい。履き始めでこれだけ良いのだから、馴染んだらもっと良くなることは確実でしょうし、既成靴でこれなのだから…という想像が働いているのは間違いありません^^;
まとめ
気に入りすぎて、購入してからかなりの頻度で履いているRoyas、合わせやすいモカブラウンということもありますし、秋冬に映える色味、そして履きやすいとくれば頻度が上がるのは必然です。
COLでお願いしているミディアムグレーのスーツにも合わせてみたいですし、LES LESTONのサファリにもぴったり。まだ表情は硬いですが、馴染んでいくのが楽しみな一足。秋冬の足元を支えてくれる一足が増えました^^こうなるとやっぱり、BESPOKEやMTOも気になりますね…お金を貯めなくては…
このRoyas、アローズの六本木店のみでの展開ですが、気になる方はぜひ。おすすめです。
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