初めてのジョッパーブーツ。初めてのカルミナ。
ようやく秋らしくなり、ダークブラウンの靴が映える季節に合わせて、スペイン、ではなくオーストラリアのショップから個人輸入しました。
カルミナの靴、というよりもスペインの靴は今まで縁がなかったのですが、銀座の三越で何度か見て、試着をして、一足履いてみたいなあと思っていました。※ブランド名はカタカナ表記だと、カルミナではなく本当はカルミーナのようです。
価格帯はクロケットのレギュラーラインと同等以下、でも品質はそれ以上とよく聞きますので期待は高まります。
真っ赤な箱に入ってはるばるオーストラリアのメルボルンからUPSで。初めてのジョッパー、初めてのカルミナにワクワクしながら。箱を開ける楽しみというのはいくつになっても味わえる良い感情。
※しばらく履かずにしまっていた靴箱を開けるのは別の意味で怖いですが^^;
ジョッパーブーツそのものについても簡単に記載しつつ、ご紹介していきます。
ジョッパーブーツとは
乗馬の時に履かれていたストラップぐるぐる巻きのブーツ、という雑な理解だったジョッパーブーツについて、簡単に調べてみました。以下はAll Aboutで服飾ジャーナリスト飯野さんが書かれていた記事からの引用です。
ジョッパーブーツ(Jodhpur Boots)とは、ファッションの世界では、足首・くるぶし・かかとに交叉上に巻きつけたストラップを外くるぶしにあるバックルで固定させるショート丈のブーツのことを指します。この“Jodhpur”なる言葉ですが、インド北西部にある都市の名でして、上記のスペルはかつてそこを植民地支配していたイギリス人が、現地の方の発音を基にある意味勝手にあてはめたもの。なので、それを日本語に再変換すると、当然ながら今回用いる「ジョッパー」だけでなく「ジョドパー」「ジョドプァー」「ジョドファー」など、同じものを示していながらも表記は様々になってしまっています。
https://allabout.co.jp/gm/gc/196830/
このブーツにその“Jodhpur”なる地名が付いた所以は、植民地支配時代にそこに駐留していたイギリスの陸軍武官が、現地の人々が愛用していた白の綿ズボンからヒントを得て騎馬部隊用に開発した乗馬用の長ズボン、そう、今日「ジョッパーズ(Jodhpurs)」と呼ばれる上腿部は太く下腿部が極端に細いトラウザーズの下に履くブーツとして登場したものだから、と言う説が有力です。ただこれも、騎馬部隊用ではなく彼らが休日に楽しむポロ競技用が起源だとか(ってそれって前回紹介したチャッカブーツじゃないのか?)、その他もろもろの説があるのですが、19世紀の末にこの“Jodhpur”なる地で生まれたものであることは共通で間違いないようです。乗馬用からカジュアルな装いへと守備範囲を広げたのは、1930年代あたりからだと思われます。
上の文で「ファッションの世界では」と書きましたが、起源である乗馬の世界では、今日「ジョッパーブーツ」と言えばむしろ、サイドゴアブーツ(Side Gore Boots)を指す場合が多いようです(サイドゴアブーツについては次回お話しする予定)。馬に乗る際「ジョッパーズの下に履く・履けるブーツ」である点では、確かに両者は共通ですので、どちらがより本格的とか本物とか言うものではないようです。ただ、全く異なるスタイルのブーツが同じ名称で呼ばれる錯綜状態であることは事実ですので、例えばいずれかをお買い求めの際などには、ちょっと注意を払ったほうが宜しいかと思います。
どうやら乗馬のブーツと言ってしまうのは乱暴なようです。確かに乗馬で調べてみてもジョッパーブーツ を履いているものを見つける方が難しい。インドの北西部の都市名がつけられた、ジョッパーズの下に履くストラップブーツ、が間違いない理解になりそう。
同じ意味であるならば、ジョッキーから連想しやすいジョッパーよりもジョドファーと書きたいところですが、カルミナの公式HPにジョッパーブーツと紹介されているので、それに則りで。
CARMINA 865 仕様と詳細
ラストはFOREST、やや前側にゆとりのあるラウンドトゥ。丸みがあることでぼってりと、どこか英国靴にも似た柔らかい雰囲気のあるブーツになっています。
ボールジョイントや甲など窮屈さはないジャストサイズ、ブーツらしく足首をホールドして履く形になりそう。短靴であればFORESTの場合6.5でも履けそうです。
革はアノネイのベガノカーフ。ボカルーよりも加工感が少なくベガノの方が個人的には好みです。
写真の通り肌理は十分にきめ細かく、茶系のベガノカーフということもあり経年変化が今からとても楽しみです。
凛としたサイドビュー。トゥからトップラインに伸びる滑らかな曲線と、ごちゃごちゃしすぎないスッキリしたデザイン。ストラップの主張がそこまで強くないのがとても好きです。
光が当たり、立体だとわかる陰影とベガノカーフのムラ感がよくわかります。
小さなバックル。先日ご紹介したFalmouthと似た形。丸みがありここも柔らかな印象を出すのに一役買っていると思われます。
ステッチワークも丁寧。ダブルステッチのところは縫い目が重ならないように縫われています。出縫いもドレスブーツに合わせたピッチ。
バックステイから伸びる持ち手も当然のごとくレザー。
Raymarに仕様が似たチャネル仕上げのフチ焼きの入ったソール。嬉しいのはデフォルトでつま先に化粧釘で補強がなされていること。何も無いよりはまし、くらいの強度かとは思いますが、安心してそのまま履き下ろすことができます。いびつなのはちょっと残念ですが、手仕事ということでしょう。
見かけの革質・品質は良い、あとは履きこんで
良質な革に丁寧なつくりのカルミナの靴。見かけでの判断になりますがコストパフォーマンスは高く、中〜高価格帯に位置する中ではサージェントのExclusiveラインと同等レベルのつくりだと感じます。
履きおろしてどんなシワが入るのか、年単位で履き込んでどんな経年変化・脆さが出てくるのか。秋冬の主役になってくれると信じて、ツイードのジャケットやコートと合わせて履きおろし、またそのころにレポートしようと思います。
コメント
コメント一覧 (6件)
コメント失礼します。
カルミナの靴、僕も気になってました。
エキゾチックレザーも扱っているし、パターンも色々あるし、器用なメーカーですよね。
経年変化記事楽しみにしています。
そろそろさん、こんにちは!コメントありがとうございます。
奇遇ですね〜!コードバンも比較的手頃ですし、リザードのローファーなんかもすごくかっこいいですよね。ラストもかなりの数あるので英国にも負けないメーカーだと今回実際に見てみて思いました。プレメンテと履きおろし、さらに1シーズン履いてみてまたレポートしたいと思います◎
カルミナ、綺麗な靴ですね。
私はカルミナの前身アルバラデホのコードバン を持ってました。素材はホーウィンを使っていて手間もかかっているのに、 オールデンやアレンよりずっと安く、スペイン靴のコスパの高さを実感したものです。
ご存知かもしれませんが、ヤンコを創設したのがホセ・アルバラデホという人で、この人はその後ヤンコから離れてアルバラデホを設立、そしてブランド名をカルミナに変えたそうです。確か奥さんの名前だったとか。
伊勢丹で展開されているJ.A. ラミスやメルミンもアルバラデホ家のブランドです。
要するにスペインの本格靴はアルバラデホ家で繋がっているようで、その中でもカルミナは中心ブランドなのだと思います。
ヤンコ→アルバラデホ→カルミナと木型が細くなってアルバラデホ家の靴は履かなくなりました(ポッテリが好きなので)が、良い靴を作るという伝統は変わってないですよね。
コレからの季節で活躍しそうですね。
なおけんたさん、コメントありがとうございます!
コードバン、仰られるようにカーフとの価格差も小さくて、きっと作り込みもこのブーツ同等以上でしょうからお得感がありますよね。
JAラミスやメルミンまで関係あるとは知りませんでした!繋がりがあるということは材料供給などうまいことできているんですかね〜、スペイン靴、侮れません。
カルミナでもEEEウィズなどの展開もあったり、DETROITラストなるものはアメリカに寄せた形のもののようです。この辺り多彩なラストがあるのも、すごいところですね。今年、たくさん履いて良さを感じたいと思います。
まるすけさん、こんばんは!
これからのシーズンに大物を補強されましたね!
カルミナは私も昔1足だけ持っていましたが、価格は抑え目ながら要所を押さえた作りの良い靴を供給しており、好感が持てますよね。そろそろさんも書いていますが、とても器用なメーカーという印象です。
ジョッパーブーツ、思った以上にスタイリングの幅が広く、今から着こなしをあれこれ想像するだけで楽しいですよね~。
ベガノカーフのエイジングが大変気になります。続報をお待ちしています(^^)
gohkitiさん、こんばんは!コメントありがとうございます◎
やはりみなさん印象は同じ、かつお持ちだったgohkitiさんがおっしゃるのであれば間違いないですね^^
gohkitiさんのジョドファースタイリングもぜひ拝見したいです◎ベガノはクリームを良く吸収するとあるので、会えて無色で行くか、いつも通りクレムか、はたまたクリームナチュラーレか、どう育てていくかも楽しみながら行きたいと思います!