既成靴の中でも最高峰の部類に入るでしょう、Stefano BemerのUチップをご紹介します。
購入自体は一昨年ですが、イタリアの靴は手持ちの中になく久しぶりの購入となりました。思い返してみるとイタリア靴は、町田の古着屋JAMで購入したZintalaが最後かな?
まだ革靴への知識が浅い時に当時は購入しており、サイズもワンサイズ大きく履きたくとも履きにくくて手放してしまいましたがイタリア靴の中でもトップに君臨するZintalaらしい無骨ながらも繊細さも残るような作りだったのをよく覚えています。
今回ご紹介するStefano Bemer 5264もカントリーテイストな雰囲気を持ちつつもよくみると精緻に作られています。
いつも通り、履き心地、サイズ感も含めてご紹介いたします、ご覧いただければ幸いです。
Stefano Bemerについて
当ブログでは初めての登場になりますので簡単に。
1988年創業、ステファノ・ベーメルさんが立ち上げ最初は注文靴、そこから今回ご紹介するような既成靴の展開を始めたそうです。※残念ながらご本人は他界してしまったそう。
さまざまな革を使うことと、履き心地に拘って作られていることがいろいろなサイトで紹介されています。その点を加味しながらご紹介していきます。
HORWEEN Arlingtonカーフを使った5264モデル
いつもであれば、ここから靴の紹介になりますがStefano Bemerはまず靴箱が木箱、そして中の包装もめちゃくちゃ丁寧。今までの靴の中でNo.1の高級感があります。
箱にはモデル名、ラスト、サイズ、革、色が書かれており、Arlingtonカーフがあしらわれています。すごくいいです、このデザイン。
Arlingtonカーフはロシアンカーフを模して菱形のシボが特徴。あれ、ホーウィンならハッチグレインもそうだよな、何が違うのだろうか…
そんな疑問もありつつ、開封。
こちらが5264モデル、いわゆる外羽根のUチップモデルです。
Uの部分が狭い(通常ヴァンプに当たる部分)のはイタリア靴でよく見かけるデザインな気がしますが、Stefano Bemerの他のモデルでもこの意匠はあるようです。
アッパーにはホーウィンのArlingtonカーフを使っていて、Uチップの外観とともにカントリーテイスト満載にパッとみると見えますね。
少しアップで。個体差かもしれませんが、ハッチグレインよりもシボはやや浅めに感じます。
そのシボの上にスキンステッチ、精緻に縫われておりぷっくり具合がたまりません。何がたまらないのかわからないと妻には言われましたがたまりません。
正面から見てみると、ぐぐっと捻れたラストになっていることがわかります。
羽根もピッタリくっつくのではなく少し浮くようになっています。浮きがあるのは不良ではなく、歩きやすさのために可動域を確保しているとも言われています。
サイドビュー。ここでも革の陰影がたまりませんし出し縫いもとても綺麗です。
爪先付近はしっかりと低めに抑えられていて、そこから滑らかに甲まで伸び、やや二の甲はやや高めに作られています。
また、くるぶし周りはラインが高めです。後述しますがくるぶしが低い人には要注意のモデルになりそう。
ヒールはシームレスヒールです。
お気づきの方もいるかもしれませんが、この靴で「お!」と思ったポイントの一つに、羽根と履き口の革以外、アッパーは1枚で作られているということです。
とても贅沢な革の使い方をしており、素材自体もそうですが使い方もとても拘っているのだなあと感じます。
アッパーのステッチは全てダブルステッチです。ダブルにすることでArlingtionカーフの存在感にも負けていませんし、何よりステッチが非常に精巧です。
ソールは半カラス、といってもミュージアムカーフのようなバーガンディで色気のある仕上げです。
ウエストもキュッと絞られた内ぶりのラスト、つま先の化粧釘、縁取り等々細かなところまで美しく作られています。
シューツリーは最初から付属していて無垢で木の温もりが残っており、それでいてくりぬきのツリーとここにもとても手がかかっています。
シューバッグもハウンドトゥースの袋に革のパッチ付き。
箱から靴、そしてツリーにシューバッグ、どこを見ても抜かりなし!イタリアの美意識というか、美しさへのこだわりを見せてもらったような気分になりました。素晴らしい。
プレメンテ
プレメンテはいつも通り3日間プレメンテを実施しました。元々は油分の多い革だとは思うのであっさりでもいいのかなと思うのですが、少し乾燥気味でしたのでしっかりと。
今回使ったクリーム類は以下です。
- デリケートクリーム:サフィールノワール ナッパデリケートクリーム
- 保湿クリーム :ブートブラック リッチモイスチャー、TWTGオリジナルクリーム
- 油性クリーム :サフィールノワール クレム1925
- ソール :ブートブラック レザーソールコンディショナー
プレメンテ後はより一層むっちりもっちりの質感。ただちょっと履いた後に油分過多だったかなという感じもするので、今後のケアは工夫が必要かもしれません。
※3日間プレメンテは以下をご覧いただければ幸いです。
Cラストのサイズ感
プレメンテをしたのちに履き下ろし。
私はUK7E、US7.5D、25.5cmを選ぶことが多いですが、Stefano BemerのCラストであるこの靴は40.5を選択しました。このサイズでジャストだと思いますが、二の甲はやや高いこともあってか羽根は閉じます。
※とはいえ、この靴は羽根閉じるのが普通な気もするのであまり評価指標にならない気もします。
爪先付近の甲の高さはしっかりと抑えられているので、隙間はほとんど感じません。また、ボールジョイントもきつすぎず程よいフィット感。踵についても抜けは全くありません。
ちょっとこの写真ではわかりづらい、というか全くわからないのですが前述の通り履き口周りのトップラインが高くくるぶしに革が当たります^^;
ラストというよりもこのモデルの型紙に依存する部分かとは思いますが最初は結構痛かったです。数回はいて馴染んだものの、場合によってはインソールでの嵩上げも視野に入れています。
それ以外は包まれるような感覚のフィット感で、履き心地へのこだわりが感じられる一足です。
私の足の場合ですが、サイズ感の参考になれば幸いです。
※私が履いたことのある靴のサイズ感は以下をご参照ください。
革質
ホーウィンのArlingtonカーフは初めての経験ですが、しなやか、というよりもがっしりした革で馴染みは早そうです。
傷は割とつきやすく、少しうねりのあるというか起伏のあるシワができるので、クロムエクセルにイメージ近いなあという感覚があります。
シワが白くういているところもあるので、少し油分過多なのかなと思います。今後ケアには注意しながら、何か変化が見られれば追記したいと思います。
まとめ
Stefano Bemerの5264モデルのご紹介でした。靴だけでなくその付属品含めて、それぞれが高いレベルで美しく作られているなあと感じました。
この靴は革の特徴も加味してカジュアルに合わせる方が合いそうなので、休日に主に履いています。冬はツイードやフランネルのパンツと相性が良いですし、春にはデニムと合わせるのが良さそうです。
エイジングが楽しみな靴(黒靴以外はいつもいってますが^^;)でもありますので、目立つ変化が見られた際にはまたご紹介できればと思います。
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