浅草コブラー 2足目のプレミアムオーダーシューズ完成

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年初にお願いし、コロナ禍ゆえの自宅での仮履き確認を経て、2足目のプレミアムオーダーシューズが出来上がりました。

完成の連絡を受けたのが8/14、受け取りが8/15、その後少々調整をしてもらったのでご報告が遅れてしまいました^^;

1足目は子供の誕生記念で、特別な日に履くための靴を作りましたが、今回のものは仕事でどんどん履くための靴、それでいてRTWではなかなかないデザイン・仕様のものを。

このポストでは仕様のおさらいから、プレメンテ、履き下ろしをお届けいたします。

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2足目のプレミアムオーダーシューズ仕様

1足目で作成したラストを元に、デザインのベースはJOHN LOBBのWODECOTE、そこに私好みのデザイン微調整とレイジーマンにしてオーダーをしています。

仮履きでは、履き口周りの調整やデザインの微調整をお願いし、素材などは何も買えないつもりでした。

が、VASSでレンデンバッハのソールの良さを知りソールは標準のものからレンデンバッハに変更しています。また、シューツリーも3ピースのものは収納や着脱の手間を考慮して中折れに変更。

そんなこんなで最終的な仕様は以下のようになりました。太字が変更点になります。

項目仕様
デザインブラインドブローグ レイジーマン (JOHN LOBB )
アッパーデギャルマン オイルドカーフ(BARANIL)
ライニング国産カーフ
中底ショウナン
ソール材レンデンバッハ
ソール仕様ヴェヴェルドウエスト / ヒールカウンターロングまくり加工 / フィドルバック
ヒールカギ型ダブテイル化粧釘あり/ テーパード
シューツリー中折れ
その他シームレスヒール

やはり1番の特徴となりそうなのは、フランスのタンナー、デギャルマン(ドゥジェルマン)のオイルドカーフを使用したことでしょうか。

オイルドカーフなのにレザーソールを使うというチグハグさがなんとも私っぽい笑。ですがデギャルマンのオイルドカーフはなんとも面白く、詳細は後述いたします。

完成靴の詳細

どんっ。

冒頭でチラ見せしていますが、こちらが今回完成した2足目のプレミアムオーダーシューズです。

デギャルマンのオイルレザーが鈍く光り、ビスポークらしく流線型で捻れ、仮履きで隙間が気になった履き口も細く小さく抑えられています。

前回の投稿で、羽根のステッチを入れるかどうか悩んだのですが、結局入れていただくことにしました。

ステッチがあった方が引き締まった表情になります。レイジーマンのゴム部分と合わせて直線でもよかったかなとも思いますが、これは入れてよかったです。

ちなみに、ダミーのシューレースですがこちらは中できちんと革が1本で繋がっていて、その方が綺麗になるように仕上げていただいているそう。

サイドビュー。画像が悪い…

ヴァンプの部分も少しラストを調整してもらい、より足に密着するように。

ウイングのサイドライン、ヴァンプから伸びるラインも型を修正してもらいました。サイドビューはぴったり私のイメージ通りです。

ヒールはシームレスヒール。

1足目はロングヴァンプにしたので横一文字とサイドに縫い目が入りましたが、こちらは一切の縫い目がないシームレスヒール。

かかとの丸みは通常のヒールには劣りますが、やはり造形としてはシームレスは美しい。

ソールはカラスにはせずナチュラルな仕上げに。

グッと絞られたウエストは相変わらずで今回はカラスにしない代わりにとフィドルバックにしました。

仕上がりはもちろん綺麗なのですが…うーん、フィドルバックにするなら半カラスにしてもよかったかな?

元々ソールなので目立つものではないのですが、今後頼むときはフィドルバックと半カラスはセット、かな。

出縫いピッチは相変わらずの細かなピッチで正確。

他の部分もそうですが、縫いがとにかく綺麗。職人さんは縫いが得意な方だそうです。

工房で足入れした時の写真。

履き口の部分は密着度が高くなり、とはいえキツくもない。デザインだけでなくフィッティングの改善依頼箇所も修正されています。

1足目もそうでしたが、靴単体で見るとのっぺりしているというかちょっとずんぐりに見えるものの、履くとシュッと綺麗に見える靴です。これはなんでなんだろうなあ、不思議。

こういう靴が欲しい、と思ってオーダーした靴が出来上がり、足入れする時はやはりシフクのひと時ですね。

素晴らしい質感:デギャルマン(ドゥジェルマン)のアッパー

アッパーの素材そのものもこの靴の大きな特徴です。

フランスの老舗タンナー、デギャルマン(ドゥジェルマン・degarmann)のオイルドカーフを選んでいます。写真が少し白く見えると思うのですがオイルレザー特有のブルームが出ることもこの革の特徴。

デギャルマンはドイツ・スイスと接するアルザス地方にある300年以上続く超老舗のタンナー。他にデギャルマンの革を扱っているのは知る限りはKOKONのみです。

石郷岡さんから聞いた話では、昔ながらの製法で非常に長い時間をかけてなめすのはもちろんのこと、牛も化学的肥料などは使わずに生育した牛のみを原皮としてもちいているのだそう。

オイルドカーフということもあり、感触はしっとりと肉厚、肌理も非常にキメが細かい。

足あたりは非常に柔らかく、これからどんなふうにエイジングしてくれるのか楽しみでなりません。


中折れのシューツリーがまた素晴らしい

今回もお願いしたシューツリー。

前述の通り3ピースではなく中折れのタイプにしてもらいました。英国で複数の有名メーカーやビスポークシューズメーカーから依頼を受け、ツリーを製作した経験をもつ職人さんに製作です。

靴がダークブラウンなので、色はネイビーをチョイス。アルコール染料で染められ、ハンドメイドのムラ感も楽しめます。

ガッツリとくり抜かれて無駄を削ぎ落とされたツリーはまさに芸術品。

ツリーを入れるとThe Asakusa Cobblerの文字が見えるのもまたニクい。

隙間なくフィットするので抜き差しは非常に大変ですが、やはりこのツリーはお願いする価値ありです。

プレメンテ

オイルドカーフということもあり、いつもの油分多めのプレメンテは避けました。実は最初はいつも通りクレムを使おうとしたのですが、面白いことにクレムがあっという間に吸収されまして^^;

リッチモイスチャーはほんの少しだけ、あとはナッパデリケートクリームとクリームナチュラーレ、お気持ち程度のワックスを。ワックスもほぼ塗ってないに等しいレベルです。


じんわりと光る、マットな質感。

今までに経験したことのない雰囲気の革で、どんなエイジングを見せてくれるのかが本当に楽しみでなりません。

今後もケアの仕方は色々と試行錯誤してみようと思います。

履きおろしと履き心地

すでに数回履いて仕事に出ています。靴単体で見るよりもやはり履いた方が本領発揮。

写真は4回目の着用時の写真です。シワは左右対象にほぼほぼ入り、オイルドレザーらしい質感のシワ、オイルが少し浮き出てきて鈍く光っているのが見て取れます。

シワは細かなシワが入っていますが、履き込むとオイルレザーらしいシワが定着してコードバンのような表情を見せてくれそうです。

また、クロムエクセルなどと同様に多少の擦り傷はブラッシングで綺麗になることも仕事でどんどん履くためには◎

肝心の履き心地ですが、グッと絞った踏まず部分のサポートが素晴らしく、ヴァンプやボールジョイントもフィットしているのにどこも痛くないフィッティング。

その一方で、かかとのフィッティングは正直物足りないです。
今回改めて感じたのですが、私はかかとをガッチリとホールドしてくれる方が安心感があり好きなようで特にそう感じるのだと思います。ここは完全に失敗だったなあ…

とはいえ、履いていて気持ちいい靴であることは間違いないのでまずはコンセプト通りに仕事でどんどん履こうと思います。

2足目のビスポークシューズまとめ

初代とのツーショット

2足目でレイジーマン、少し冒険だったかもしれませんがコンセプトに沿った活躍をしてくれる靴に仕上がりました。特にデギャルマンのオイルドカーフがどのように育ってくれるのかは非常に楽しみです。

その一方で、かかとのフィッティングなど正直物足りないなあと思う箇所もありました。
ある意味、自分にとって譲れないポイントが何なのかもより明確に理解することができたと言えるのですが、直接職人さんと話す、ベースラストもないフルスクラッチのビスポークへの憧れもより強く…当分先になるでしょうが、よりじっくりと構想を練ってまたビスポークにチャレンジしたい。

まだまだ、靴の探究は尽きないようです笑。

と、次回への改善点も見えた2足目のオーダーシューズでしたが、コロナ禍で色々と大変な状況だったにもかかわらず、思った形の靴を仕上げてくださった石郷岡さん、職人さんに御礼申し上げます、ありがとうございました!

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • まるすけさん、納品おめでとうございます!インスタの最初の投稿から勝手にじらされていました(笑)
    こちらの革、初めて拝見しましたがマットなのにクリーンな感じがして面白いですね。紐で調整できないぶん踵のフィッティングはシビアになりますよね…履きこむことで馴染んで感覚が良くなってくるとよいですね!

    • kaisei_yaさん、コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません…

      ありがとうございます!そして焦らしてしまいすみません笑
      面白い革ですよね、デュプイなどと違ってどこかの傘下に入っていないタンナーだそうで、
      数自体もそんなに多いものではないみたいです。
      フィッティングは本当に難しいんだなあと今回の件で思い知りました^^;
      かかとの形があっていても、全体としてきちんとバランスが取れてないとダメだそうで、
      ビスポークといえど数回重ねて初めて出来上がる、というのを身を以て体感しました。

      kaisei_yaさんのビスポークたちも焦らされておりますので、楽しみにしております^^

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