まだ9足目、もう9足目。全幅の信頼をおくseica霜崎さんが作るCOLオリジナルシューズ、今回はローファーです。毎度お馴染み霜崎さんの仕事を絶賛する回になります。
タイトル通り革はアノネイのボカルー、意識的にボカルーを選択したのは今回初めて。完全なる私の一方的ネガティブイメージを払拭する良い機会にもなりました。
今回も最高の一足、いつも通りご紹介させてください。
靴会でのオーダーと納品
ホテルオークラで2024/12の靴会にてオーダーし、2025/5の靴会で納品いただきました。
第二子が生まれて抱っこ紐をするときには紐履が履きにくいのと、オフの日かつカジュアルな装いの時にでも霜崎さんの靴を履きたいこと、予定納品時期も加味してローファーをお願いすることは決めていました。
2足目のタッセルをお願いして以来のローファー、オーダー前にタッセルで少し気になったところをあらかじめ伝えていたら、事前にいろいろな対策を考えてくださっておりますますファンになったのでした。
オーダー仕様
タッセルはブラックだったので、茶系で良い革があれば、とリクエストしてお薦めいただいたのがアノネイのボカルー5048。
超先入観でアノネイのボカルーって、大味な皺が入っているものを見て以来あんまりいいイメージがなかったけれど、世間的には高級ボックスカーフで現物もハリコシ毛穴がとても綺麗で、霜崎さんもお薦め、少し赤みがかったブラウンの使い勝手の良さ、価格もベースプライスということでボカルー、君に決めた。
納品
受け取りもホテルオークラの靴会にて。カンデブーモヘアのスーツの納品とともに。
作っていただいたローファーを早速。いつも通り非常に丁寧な霜崎さんの仕事は詳細を別途お伝えするとして、ボカルーのハリツヤが抜群。仕立て映え、ならぬ吊り込み映え。
フィッティングはもう何も心配しておらず、足入れの時の空気が抜ける音を聞いてウフフ…となってああ満足。バッチバチのフィッティング、サドルのある2の甲周りをがっちりホールドしつつ指先にはゆとりを感じられる。ある程度の慣れはどうしても必要だけど、これは確実に履きやすい。
甲周りがタイトなので、クツビガクのモイスト塗って慣らしていくかと思ったら霜崎さんがサッと塗ってくれました。さすが蜜月の関係。あ、なんか一段履き心地が変わった、と思う瞬間を味わうのがたまらないわけですが、そう遠くない未来にそれが味わえるのは間違いないでしょう。
唯一大変なのは、履くのも脱ぐのも大変なことくらい…かな^^;
Annonay Vocalou(アノネイ ボカルー)について
さて、ボカルーに対する勝手な偏見は現物を見て、かつ履いてみて解消されたわけですが、少しだけボカルーについて調べてみたので記載します。
アノネイはデュプイと同じくフランスのタンナー、その中でもボカルーは主力でエドワードグリーン等も使っているし、日本でもよく耳にする名前かと思います。リーガルのベルトにも使われていたり、MTMの靴でインポートレザー、と書かれているものはアノネイに当たることがとても多い革。
クロムなめしのハリとコシのあるボックスカーフ、柔らかく滑らかで履きやすい、というようなものではなくドレスシューズに合う革。カラー展開も非常に豊富でブラック、ダークブラウン、エスプレッソ、ネイビー、ボルドー、コニャック、スティール、グリーン…ざっと調べただけでもこれだけあるようで。
耐久性やエイジングの具合はこれから体験してではあるものの、決して先入観で毛嫌いしては勿体無い革であり認識を改めました…まあ、当然等級もあるだろうしボカルーであれば全部良いってことにはならず、ボカルーさえ選んでおけば間違いありません!ってことではないでしょうが…
COLオリジナルシューズ9足目の詳細
写真中心に詳細をご紹介。ご覧の通り、誰がみてもコインローファーとわかるシンプルな姿。全体的に丸みを帯びた優しい雰囲気。
ウエストンとかと比べるとサドルからつま先までが少し長め、モカ縫いからつま先までの距離もある程度確保されていて、かつモカの面積もやや狭目ということでより長く見えているのもあるし、捨て寸をしっかり確保してもらったことの結果でもあります。
パターンから生み出される連続的な曲線、シームレスヒール、各所のステッチがまた非常に丁寧で美しい1足。なお、写真を撮り忘れてしまいましたが踵のライニング部分はスエード面にして脱げにくさの工夫もあり、抑えるところはしっかり押さえて歩行を快適に支えてくれる1足。
各所のステッチワークがとにかく綺麗。出し縫い、モカの部分も丁寧にピッチも細かく縫われており、時間をかけて作られているのが伝わります。このボカルー、光の当たり方によって見え方が結構変わるのがまた面白い。ダークブラウンに見える時もあれば、バーガンディっぽくも見える。表情豊か。
いつも通りのソール。スチール付きのいつもの仕様。こちらも派手さはないけど丁寧に。いつも通り安心できる一足。
プレメンテ
軽くプレメンテ。クツビガクのモイストをライニングにもアッパーにも塗り込み、クリームナチュラーレで軽く仕上げ。クリームナチュラーレのダークブラウンの色味がドンピシャなのでこのローファーはナチュラーレで当面メンテしていきます。
納品時にもモイストを塗ってもらいましたが、モイスト塗ると確実に足馴染みが良くなります。かてーなこれなんなんこれって思うけど履きたい靴がある場合には非常におすすめのクリームです。
履き下ろし
納・即・履。
足の先は楽なフィッティング、でももちろん脱げることはなく履き下ろしからかなり快適な歩行。サドル部分のホールドはややきつめなので慣らしは必要だけど、どこもかしこも痛くて10分と履いていられない…なんてことはないので、この夏から間違いなく主力になる1足。
シワの入りも悪くなく、大味な皺が入ると思い込んでいたボカルーへのネガティブな印象は無くなりました。あとは傷やその復元、耐久などはこれから履いてみなければ…ですが。
まとめと次のオーダー
確実に履く一足がまた増えました。うれしい悲鳴。ボカルーへの変なネガティブイメージもなくなったことも大きな一歩。色気のある色味だけど優しい丸みのあるフォルムでオンにもオフにも両方はける万能な1足。
さて、靴会では次のオーダーもしてあります。次は黒のパンチドキャップトゥになります。革はアノネイの水シボ、これも初めての革なので大変楽しみです。
霜崎さん、COLのみなさま、この度もありがとうございました!次回もよろしくお願いいたします^^
過去に作っていただいた靴
以下にまとめています。いずれも結構長い記事ですがご参考までに…
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